ESD樹脂コンテナの測定値が10¹¹ Ωを超えた場合、ANSI/ESD S541ではすでに絶縁性の領域です。PRIMEAGでは、①電極の当て方と湿度、②表面の汚れ、③帯電防止コーティング品や一般コンテナの混入、の順に確認することをおすすめします。合格品のカーボン配合PPコンテナ・トレイは、10³~10⁹ Ωの範囲で測定される必要があります。
ベトナム工場の品質管理部門が新しいコンテナのロットを受け入れ、数個に測定器を当てたところ、画面に10¹¹ Ω超と表示されました。返品すべきか、受け入れるべきか。不合格報告書を作成する前に、測定ミス、コンテナの汚れ、コンテナの種類違いという3つの可能性を切り分けてください。
- 底面または側面の平らな部分で測り直し、ラベル、リブ、曲面のコーナーは避けます。%RHを記録します。
- 油、接着剤、シリコーン入り洗剤をきれいに拭き取ってから判定します。
- 青色・ピンク色のコンテナは多くの場合、帯電防止のみで静電気拡散性はありません。
- それでも≥ 10¹¹ Ωなら隔離し、EPAエリアから出します。



ESD樹脂コンテナが10¹¹ Ωを超える原因
ANSI/ESD S541では、10⁴ Ω未満が導電性、10⁴以上10¹¹ Ω未満が静電気拡散性、10¹¹ Ω以上が絶縁性です。ただし、数値が高くても材料が原因とは限りません。4つの原因を、コストの低い順に確認していきます。
1. 測定方法が正しくない
- 電極がラベル、リブ、曲面に乗っており、平らに接触していない。
- 5 lb電極ではなくデジタルマルチメーターを使っている。
- 印加電圧の誤り:まず10 Vで測り、10⁶ Ω以上なら100 Vに切り替えます。
- 乾燥した部屋ではコーティング品の測定値が高く出ます。必ず%RHを記録してください。
デジタル表面抵抗計TR1800を使い、2個の5 lb電極を底面または側面の平らな部分に置き、数値が安定するまで待って、測定器に表示される湿度とあわせて記録します。
2. 表面が絶縁層で覆われている
手の油、ラベルの接着剤、パレット用ストレッチフィルム、シリコーン入り洗剤は、いずれも薄い膜を残します。測定部位をIPAで拭き、乾燥させてから測り直します。数値が10⁹ Ω未満に下がれば、原因は清掃工程にあります。
3. 種類の取り違え:帯電防止コーティングかカーボン配合か
「antistatic(帯電防止)」コンテナは表面に薬剤をコーティングまたはスプレーしたもので、洗浄を繰り返したり乾燥した季節になったりすると効果が低下します。青色・ピンク色のコンテナの大半はこの帯電防止タイプです。一方、カーボン配合の黒色PP静電気対策コンテナは材料全体が導電性を持っています。縁を軽く削り、削った箇所で測定すれば見分けられます。
4. ロットに一般の黒色樹脂コンテナが混入している
黒色であることはカーボン配合の証明になりません。しきい値を超えるのが数個だけなら、一般品の混入を疑います。1個ずつ測定し、合格したコンテナにラベルを貼り、不合格品はEPAの外に置いてください。
測定値の読み方と対応表
| 測定値(5 lb電極) | 判定 | 対応 |
|---|---|---|
| 10³ Ω未満 | 導電性が強く、10³~10⁹ Ωの範囲外 | サプライヤーに確認。極めて敏感な部品には静電気拡散性トレイを敷く |
| 10³~10⁹ Ω | ESDトレイ・コンテナの範囲内で合格 | 通常どおり使用し、%RHとあわせて記録 |
| 10⁹超10¹¹ Ω未満 | S541では静電気拡散性だが、要求範囲外 | 清掃して再測定。改善しなければラインから外す |
| 10¹¹ Ω以上 | 絶縁性 | 測定方法を見直し、拭き取り、縁を削って再測定。それでも高ければ返品または廃棄 |
比較は、同じ印加電圧・同じ電極で、湿度を記録した測定どうしでのみ行ってください。
バラ部品は静電気対策樹脂トレイに入れるのがよく、購入時に10⁶~10⁹ Ωの範囲を指定できます。ラック上の軽量品には図面製作のESDプラダン箱を使います。それぞれの役割は記事「ESDトレイ・コンテナ・プラダン箱の使い分け」で、仕切りのへこみについては「ESDプラダン箱の反り・仕切りのつぶれ」で解説しています。
まず何から始めるか
品番ごとに数個を無作為に抜き取り、底面2点、側面1点を測定します。他社購入品も含め、複数の調達先のコンテナ・トレイを使っているラインでは、種類ごとにサンプルを集めていただければ、PRIMEAGがTR1800と5 lb電極で工場での無料ESD抵抗測定を行い、導電性・静電気拡散性・絶縁性に分類します。データは参考用であり、監査には使用できません。供給契約に基づいてご購入いただいた製品には、ロットごとのESD測定記録とCO/CQが付きます。作業台の天板で位置により測定値がばらつく場合は、記事「ESD作業台の天板が一部だけ不合格になる場合」をご覧ください。
よくある質問
- 新品のコンテナが10¹² Ωと出たのは測定器の故障ですか? — 測定器が原因であることはまれです。きれいな部位に電極を平らに置き、100 Vで測定します。それでも10¹² Ωなら、カーボン配合ではない可能性が高いです。
- antistatic表示の青色コンテナはEPAエリアで使えますか? — 測定値が10³~10⁹ Ωの範囲外であれば、基板を入れるのはおすすめしません。
- 水洗いするとカーボン配合PPコンテナの静電気対策性能は失われますか? — 失われません。カーボンは材料全体に含まれています。シリコーン入り洗剤は避け、乾燥させてから測定してください。
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執筆:PRIMEAG 技術チーム
更新日:2026年10月25日
